拝絹:夜の正礼装を彩る艶

拝絹:夜の正礼装を彩る艶

ウェディングの質問

先生、「拝絹」って、タキシードの襟のことですよね?どういう意味なんですか?

ブライダル研究家

そうだね。「拝絹」はタキシードや燕尾服の襟に使われる、つやつやした布のことだよ。昔は絹が使われていたけど、今はつやのある布なら他の素材が使われることもあるね。夜、正装するときの服にだけ使われる特別な襟だよ。

ウェディングの質問

どうして、つやつやした布を使うんですか?

ブライダル研究家

昔、電気がなかった時代、ろうそくなどの弱い光でも顔を明るく見せるために、襟に光沢のある布を使ったのが始まりと言われているんだよ。だから「拝絹」と呼ばれるようになったんだね。

拝絹とは。

燕尾服や夜会服の襟に使われる『拝絹』について説明します。拝絹とは、襟の部分に光沢のある布を貼ったもので、本来は絹が使われていましたが、最近は光沢のあるサテンやタフタなども使われています。電気がなかった時代、かすかな明かりでも顔を明るく照らすために使われたという話もあります。夜に着る正装の燕尾服と夜会服だけに用いられます。

拝絹とは

拝絹とは

夜を彩る晴れの装い、燕尾服(テールコート)や夜間用の礼服(タキシード)の襟元を美しく飾る艶やかな織物、それが拝絹です。 襟全体にこの布を貼ることで、独特の光沢と高級感を生み出します。

拝絹に使われる代表的な織物は、絹織物の中でも特に滑らかで光沢の強い繻子織です。繻子織は、たて糸とよこ糸の交差が少ない織り方なので、表面にたて糸かよこ糸のどちらかだけが長く浮かび上がり、それが光を反射して美しい艶を生み出します。絹の滑らかな質感と相まって、拝絹は襟元に上品な輝きを与えます。

拝絹には絹以外にも、光沢のある織物が用いられることがあります。例えば、サテンやタフタといった織物は、絹と似た光沢を持ちながら、比較的手に入りやすい価格で手に入れることができます。サテンは、たて糸またはよこ糸を長く浮かせて織ることで、滑らかで光沢のある表面を作り出します。タフタは、細い横うねを持つ平織物で、軽く、やや硬めの風合いと光沢が特徴です。これらの織物は、絹の拝絹と比べて、費用を抑えつつも華やかな雰囲気を演出したい場合に選ばれます。

拝絹は、夜間の正礼装である燕尾服と夜間用の礼服だけに用いられる特別な装飾です。昼間の礼服であるモーニングコートには拝絹は用いません。夜のパーティーや式典など、格式高い場で着用する際に、拝絹の輝きは装いをより一層引き立て、特別な夜を演出する大切な役割を果たします。拝絹の艶やかな光沢は、着用者の品格を高め、祝いの席に華やかさを添えるだけでなく、厳かな雰囲気も醸し出すのです。

種類 素材 特徴 使用場面
拝絹 絹(繻子織)
サテン
タフタ
滑らかで光沢が強い。

  • 繻子織:たて糸とよこ糸の交差が少ない織り方。表面にどちらかだけが長く浮かび上がり光を反射して艶を出す
  • サテン:たて糸またはよこ糸を長く浮かせて織ることで、滑らかで光沢のある表面を作る
  • タフタ:細い横うねを持つ平織物。軽く、やや硬めの風合いと光沢がある
燕尾服(テールコート)
夜間用の礼服(タキシード)

拝絹の由来

拝絹の由来

拝絹は、和装の正礼装において、女性の着物や打掛の襟もとに用いられる、光沢のある絹織物のことです。その名の由来には、たいへん興味深い言い伝えが残されています。

かつて、電気などまだ人々の暮らしに明るさが届いていなかった時代、夜に行われる宴席や集まりは、ろうそくやランプの限られた光で照らされていました。ほの暗い会場では、人の顔さえもよく見えず、相手が誰なのか分からずに会話をすることもあったそうです。そこで、襟もとに光沢のある布地を張ることで、わずかな光を反射させ、顔映りを明るくする工夫が生まれたと言われています。これが拝絹の始まりだと伝えられています。

「拝」という字には、相手を敬うという意味が込められています。薄暗い中で相手の顔がよく見えるようにとの配慮は、まさに相手への敬意の表れでした。このことから、襟に用いる光沢のある絹織物は「拝絹」と呼ばれるようになったのです。拝絹の柔らかな光沢は、ろうそくやランプの炎に照らされ、顔を明るく美しく見せるだけでなく、着る人の立ち居振る舞いにも上品さと華やかさを添えていました。

時代が進み、電気の普及によって夜間でも明るい照明が使えるようになりました。しかし、拝絹は、単に顔を明るく見せるためだけの道具ではなく、日本の伝統的な装束における格式と美意識を象徴するものとして、現在もなお、受け継がれています。婚礼衣装をはじめ、格式高い場面で着用される着物や打掛に、拝絹は欠かせないものとなっています。その美しい光沢は、時代を超えて受け継がれる日本の伝統美を今に伝えています。

項目 説明
拝絹とは 和装の正礼装において、女性の着物や打掛の襟もとに用いられる光沢のある絹織物
名前の由来 暗い場所で襟もとに光沢のある布地を張ることで、わずかな光を反射させ、顔映りを明るくする工夫から。
「拝」は相手を敬う意味があり、薄暗い中で相手の顔が見えるようにする配慮から。
役割・効果 ・顔映りを明るくする
・上品さと華やかさを添える
・日本の伝統的な装束における格式と美意識を象徴
現代での位置づけ 婚礼衣装をはじめ、格式高い場面で着用される着物や打掛に欠かせないもの

拝絹の英語表現

拝絹の英語表現

拝絹とは、礼服の襟などに用いられる、光沢のある絹織物のことです。滑らかで上品な光沢が特徴で、格式高い装いを演出する上で重要な役割を担っています。この拝絹を英語で表現する場合、いくつかの言い方があります。

最も一般的な表現は「フェーシングカラー」です。「フェーシング」は洋服の裏地や表地を補強したり装飾したりする布地のことで、「カラー」は襟を指します。つまり、「フェーシングカラー」は襟に用いられる装飾的な布地、すなわち拝絹を的確に表していると言えるでしょう。

また、「フェースドラペル」という表現も使われます。「ラペル」は下襟を指す言葉で、特に折り襟のジャケットやコートによく見られます。拝絹は、礼服の折り襟部分にも使われるため、「フェースドラペル」は拝絹が用いられた下襟を指す際に適切な表現です。襟の形状に着目した表現と言えるでしょう。

さらに、「シルクフェースドカラー」や「シルクフェーシング」といった表現も存在します。「シルク」は絹を意味する言葉です。これらの表現は、拝絹の素材である絹を強調したい場合に用いられます。素材に着目することで、拝絹の高級感や滑らかな質感をより明確に伝えることができます。

このように、拝絹の英語表現はいくつかありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。場面や状況に応じて適切な表現を使い分けることで、より正確に拝絹の特徴を伝えることができます。これらの表現を覚えておけば、海外の文献やウェブサイトで正装に関する情報を調べたり、海外の仕立屋と衣装について意見交換したりする際に役立つはずです。

英語表現 意味 説明
Facing Collar 拝絹(襟に用いられる装飾的な布地) 最も一般的な表現
Faced Lapel 拝絹(下襟、特に折り襟のジャケットやコート) 襟の形状に着目した表現
Silk-faced Collar 拝絹(絹製の襟) 素材(絹)を強調
Silk Facing 拝絹(絹製の装飾布地) 素材(絹)を強調

拝絹のある服装

拝絹のある服装

光沢のある絹織物である拝絹は、男性の夜会服を彩る特別な素材です。その滑らかで上品な光沢は、華やかさを添えつつも、厳かな雰囲気を醸し出し、特別な場面にふさわしい風格を与えます。拝絹は、主に燕尾服と夜会服に用いられます。

燕尾服は、夜間の最も格式高い正装であり、結婚式や晩餐会、授賞式など、極めて荘重な場で着用されます。その名の由来である後部が燕の尾のように分かれた独特な形状と、拝絹で縁取られた襟の光沢が、着用者の威厳を一層引き立てます。拝絹は、燕尾服の襟だけでなく、ズボンの脇線にも用いられ、全身に統一感を生み出します。まさに特別な夜にふさわしい、格調高い装いと言えるでしょう。

一方、夜会服は、燕尾服に次ぐ準礼装として、結婚式の二次会やパーティー、観劇など、比較的身近な場で着用されます。夜会服もまた、拝絹を用いることで、華やかさを演出しています。夜会服の場合は、襟やポケットのフラップに拝絹が用いられることが多く、燕尾服ほどの厳格さはありませんが、上品で洗練された印象を与えます。

拝絹の輝きは、夜の照明の下で特に美しく映え、着用者をより一層魅力的に見せます。こうした華やかさと格式を兼ね備えた拝絹は、特別な日の装いを格上げするだけでなく、着用者自身の自信を高め、周囲の人々にも特別な印象を与える、まさに夜会服に欠かせない重要な要素と言えるでしょう。

種類 格式 着用場面 拝絹の使用箇所
燕尾服 正装 結婚式、晩餐会、授賞式など 襟、ズボンの脇線
夜会服 準礼装 結婚式の二次会、パーティー、観劇など 襟、ポケットのフラップ

拝絹の役割と魅力

拝絹の役割と魅力

拝絹は、祝いの席に華を添える特別な布地であり、単なる飾り以上の意味を持っています。 その滑らかで光沢のある表面は、見る人の目を惹きつけ、上品で洗練された雰囲気を作り出します。まるで上質な絹糸が光を放つように、顔周りを明るく照らし、華やかさを演出する効果があります。特に、夜会の照明の下では、その輝きはさらに増し、着用者をより一層輝かせます。

拝絹は、燕尾服や夜会服といった格式高い服装によく用いられます。その光沢は、歴史と伝統の重みを表現し、着用者に威厳と風格を与えます。古くから、特別な儀式や祝いの場で用いられてきた拝絹は、格式の高さを象徴する素材として、人々に大切にされてきました。

拝絹の役割は、見た目だけにとどまりません。 滑らかな肌触りは、着用者に心地よさを与え、特別な日の高揚感をさらに高めます。また、拝絹は、他の素材と組み合わせることで、より一層その魅力を引き立てます。例えば、落ち着いた色合いの生地に拝絹を合わせることで、上品さと華やかさを兼ね備えた装いを演出することができます。

現代においても、拝絹は特別な日の装いを格上げする上で欠かせない存在です。結婚式や式典など、人生の大切な場面で、拝絹の輝きは、着用者自身だけでなく、周囲の人々をも魅了し、忘れられない思い出を彩ります。拝絹は、時を経てもなお、その価値と魅力を失わない、特別な布地と言えるでしょう。

特徴 効果・役割 使用場面
滑らかで光沢のある表面 上品で洗練された雰囲気、顔周りを明るく照らし華やかさを演出 夜会、格式高い服装(燕尾服、夜会服)
歴史と伝統のある素材 威厳と風格を与える、格式の高さを象徴 特別な儀式や祝いの場
滑らかな肌触り 着用者に心地よさを与え、高揚感を高める 結婚式、式典など人生の大切な場面
他の素材との組み合わせ 上品さと華やかさを兼ね備えた装いを演出