
パティオのある暮らし
パティオとは、元々はスペイン語で中庭を意味する言葉です。スペインやラテンアメリカ諸国の家屋に見られる特徴的な中庭を指します。これらの地域では、家の中に光と風を取り込み、涼しい空間を作るために、建物の中央に中庭を設けることが古くから行われてきました。パティオは、ただの土の地面ではなく、タイルが敷き詰められ、植木や噴水、ベンチなどが置かれ、美しく装飾されていることが一般的です。
パティオは、リビングやダイニングといった屋内の空間に隣接して作られることが多く、まるで家の中の一部であるかのように利用されます。家族や友人が集まって食事をしたり、くつろいだり、子供たちが遊んだりするなど、生活の中心となる場所として活用されます。
近年、日本でも集合住宅などにおいて共用部分にパティオが設けられる例が増えてきました。これは、住民同士の交流を深めたり、憩いの場を提供したりすることを目的としています。しかし、日本でパティオと呼ばれるものは、必ずしもスペイン風の装飾が施されているとは限りません。中庭全般を指す言葉として、広く使われている傾向があります。
本来、スペイン語で広々とした開放的な空間である庭は、「ハルディン」と呼ばれ、パティオとは区別されます。パティオは建物に囲まれた中庭を指し、ハルディンは塀や垣根で囲まれた、より広大な庭を指します。日本でパティオと呼ばれるものの中には、本来のハルディンに近いものもあるため、言葉の定義が曖昧になっていると言えるでしょう。