
ミドルケーキ:英国式結婚式の粋
結婚式の華やかな席に欠かせないものといえば、大きく高く積み上げられた三段重ねのウェディングケーキです。特にイギリス式の結婚式では定番となっているこの豪華なケーキには、見た目だけでなく、それぞれの段に込められた深い意味合いがあります。
まず、一番上の段、天高くそびえる頂上の部分は、結婚式当日に新郎新婦が切り分けて食べるものとされています。この儀式は、二人の門出を祝い、甘い未来への第一歩を象徴する大切な意味を持つのです。新郎新婦が共にケーキ入刀を行い、最初に口にすることで、夫婦としての新たな生活の始まりを祝います。
次に中段にあたる部分は、ミドルケーキと呼ばれ、結婚式に参列できなかった人や、近隣に住む人たちに配るために用意されます。現代では、参列者全員にふるまわれることも多いですが、元々は結婚の喜びを分かち合い、周囲の人々への感謝の気持ちを表すという意味が込められていました。周りの人々に祝福され、支えられて夫婦となる喜びを、ケーキを通して伝える素敵な習慣です。
そして、一番下の土台となる部分は、未来の子供の誕生を祝う時のために取っておくという特別な意味合いを持っています。将来生まれてくる子供と共にこのケーキを味わうことで、結婚という人生の大きな節目を改めて思い出し、家族の絆をより一層深めることができるのです。結婚の喜びだけでなく、未来への希望も象徴するこの習慣は、子孫繁栄への願いも込められています。
このように、三段重ねのウェディングケーキは、現在だけでなく未来への希望も象徴する、イギリスならではの伝統と言えるでしょう。それぞれの段に異なる意味を持たせることで、結婚という人生における大きな出来事をより深く祝福し、幸せな未来への願いを込める、美しく意義深い伝統なのです。