
幸せを呼ぶ六ペンス硬貨:結婚式に潜む素敵な言い伝え
イギリスの結婚式には、古くから伝わる六ペンス硬貨の言い伝えがあります。これは、花嫁が左の靴の中に六ペンス硬貨を入れると、幸せな結婚生活を送ることができるというものです。
この風習は一体いつから始まったのでしょうか。諸説ありますが、その起源はヴィクトリア朝時代に遡ると言われています。当時、人々は様々な迷信を大切にしており、結婚式のような人生の大きな節目に際しては、特に多くの言い伝えがありました。六ペンス硬貨の言い伝えも、そうした迷信の一つとして広まったと考えられます。
では、なぜ六ペンス硬貨なのでしょうか。一つは経済的な安定や繁栄への願いが込められていると言われています。六ペンス硬貨は、かつてイギリスで流通していた通貨で、比較的小さな額の硬貨でした。しかし、結婚式においては、金運だけでなく、様々な幸せを運ぶ縁起物として大切にされてきました。
花嫁の左の靴に硬貨を入れるという行為にも意味があります。左側は心臓に近いとされ、大切なものを守るという意味が込められているのです。また、「左」には魔除けの力があると信じられており、花嫁を災いから守るという意味もあったようです。
花嫁の左の靴にそっと忍ばせた六ペンス硬貨は、新しい人生を歩み始める二人を温かく見守り、末永い幸福へと導くと信じられています。古き良き時代の言い伝えは、現代の結婚式にも受け継がれ、二人の門出を祝福しています。時代が変わっても、幸せを願う気持ちは変わらない証と言えるでしょう。