
東海地方独特の引出物、名披露目とは?
「名披露目」とは、東海地方の一部、特に愛知県、岐阜県、三重県で見られる結婚の報告を兼ねた贈り物のことを指します。結婚を広く知らせるという意味が込められており、披露宴に招待できなかった方々へ、結婚の知らせと感謝の気持ちを伝えるために贈られます。主に職場関係者やご近所の方々など、日頃お世話になっている方々が贈る相手となります。披露宴への招待状を送っていない方へ贈るため、結婚内祝とは異なるものです。
名披露目で贈られる品物は、タオルや石鹸、箸置きセットなど、日常生活で使える実用的なものが選ばれることが一般的です。金額の相場は千円から千五百円程度と、比較的手頃な価格帯の品物が選ばれます。紅白の蝶結びの水引をかけた熨斗紙には、新郎新婦の名前を連名で書きます。地域によっては、お菓子や鰹節などの食品を贈る場合もあります。いずれの場合も、「結婚しました」という喜びと感謝の気持ちを伝えることが大切です。
名披露目は、東海地方独特の文化であり、結婚を地域社会に広く知らせる役割を果たしています。受け取った側は、お祝いの気持ちを表すため、お返しは不要とされています。結婚の報告を受け、新郎新婦の門出を祝う気持ちを表す、温かい地域文化と言えるでしょう。近年は、結婚式のスタイルも多様化しており、名披露目を贈る習慣も変化しつつありますが、今でもこの伝統を守り続ける地域も少なくありません。目上の方や年配の方には、結婚の報告として名披露目を贈ることで、礼儀と感謝の気持ちを伝えることができるでしょう。