
はさみ留め:指輪選びの新たな視点
はさみ留めは、宝石を指輪に固定する技法のひとつで、爪を使わずに宝石を留めるのが大きな特徴です。指輪の金属部分に丁寧に溝を掘り、その溝に宝石を挟み込むようにして固定します。この溝は、宝石の縁に沿って作られ、まるで宝石を優しく包み込むゆりかごのようです。
一般的には、宝石の縁部分を対角線上にある二箇所で留めます。ちょうど、宝石を両側から支えるような形です。留める箇所が少ないため、爪留めなどに比べて、宝石の表面が多く見えます。そのため、光を遮るものが少なく、宝石本来の輝きを最大限に引き出すことができるという利点があります。まるで水面に浮かぶ月のように、宝石が光り輝く様子は、見る人を魅了します。
また、はさみ留めは、日常生活での使い勝手が良いのも特徴です。爪がないため、衣服などに引っ掛かる心配が少なく、安心して指輪を着けることができます。爪留めの場合、爪が変形したり、引っかかったりすることで、宝石が外れてしまうリスクがありますが、はさみ留めは、宝石をしっかりと固定するため、爪留めに比べて石が外れにくいという利点もあります。大切な宝石を長く身に着けたい方には、特におすすめの留め方です。
はさみ留めによって留められた宝石は、まるで指輪と一体化したかのように美しく調和し、繊細で洗練された印象を与えます。派手すぎない上品な輝きは、普段使いはもちろん、フォーマルな場面でも活躍することでしょう。宝石の美しさを最大限に引き出し、かつ実用性も兼ね備えたはさみ留めは、まさに理想的な宝石の留め方と言えるでしょう。