拝絹

記事数:(1)

服装

拝絹:夜の正礼装を彩る艶

夜を彩る晴れの装い、燕尾服(テールコート)や夜間用の礼服(タキシード)の襟元を美しく飾る艶やかな織物、それが拝絹です。 襟全体にこの布を貼ることで、独特の光沢と高級感を生み出します。 拝絹に使われる代表的な織物は、絹織物の中でも特に滑らかで光沢の強い繻子織です。繻子織は、たて糸とよこ糸の交差が少ない織り方なので、表面にたて糸かよこ糸のどちらかだけが長く浮かび上がり、それが光を反射して美しい艶を生み出します。絹の滑らかな質感と相まって、拝絹は襟元に上品な輝きを与えます。 拝絹には絹以外にも、光沢のある織物が用いられることがあります。例えば、サテンやタフタといった織物は、絹と似た光沢を持ちながら、比較的手に入りやすい価格で手に入れることができます。サテンは、たて糸またはよこ糸を長く浮かせて織ることで、滑らかで光沢のある表面を作り出します。タフタは、細い横うねを持つ平織物で、軽く、やや硬めの風合いと光沢が特徴です。これらの織物は、絹の拝絹と比べて、費用を抑えつつも華やかな雰囲気を演出したい場合に選ばれます。 拝絹は、夜間の正礼装である燕尾服と夜間用の礼服だけに用いられる特別な装飾です。昼間の礼服であるモーニングコートには拝絹は用いません。夜のパーティーや式典など、格式高い場で着用する際に、拝絹の輝きは装いをより一層引き立て、特別な夜を演出する大切な役割を果たします。拝絹の艶やかな光沢は、着用者の品格を高め、祝いの席に華やかさを添えるだけでなく、厳かな雰囲気も醸し出すのです。