
結納品:婚約の証とその意味
結納品とは、結婚の約束をした証として、両家で贈り合う品物のことを指します。かつては、嫁ぐ女性を迎え入れる家から女性の実家へ贈る財産という意味合いが強く、いわば嫁取りの費用としての側面がありました。しかし、現代では結婚の意思を固め、両家の絆を強めるための儀式的な意味合いが強まっています。
結納品には、それぞれの品物に込められた意味や願いがあり、単なる贈り物以上の価値を持つとされています。例えば、目録(もくろく)は結納品の品目を記した一覧で、受書(うけしょ)は目録を受け取ったことを示す証書です。また、長熨斗(ながのし)は金包みを包む飾りであり、繁栄を願う気持ちが込められています。
結納品の種類は様々で、正式な結納の場で用いられるものから、簡略化されたものまで幅広く存在します。地域や家のしきたりによって選ばれる品物も異なってきます。
代表的な結納品としては、金宝糖(きんぽうとう)があげられます。これは砂糖菓子であり、末永く続く甘い関係を願う意味が込められています。また、昆布(こんぶ)は子孫繁栄を願う「よろこぶ」という語呂合わせから、鰹節(かつおぶし)は雄々しく強くあってほしいという願いを込めて「勝男武士」に通じることから選ばれています。
友白髪(ともしらが)は、夫婦共に白髪になるまで仲睦まじく添い遂げるようにとの願いが込められた麻糸や綿糸です。柳樽料(やなぎだるりょう)はお酒代を示し、寿留女(するめ)は噛みしめるほどに味が出ることから、長く続く愛情を象徴しています。
時代と共に形は変化しつつありますが、結納品は日本の結婚式における大切な伝統として今も受け継がれています。贈り物一つ一つに込められた意味を知ることで、より深い結びつきを感じることができるでしょう。