
幸せを呼ぶ ホースシュー
馬のひづめに付ける、鉄でできた保護具である蹄鉄。これを英語で「horseshoe(ホースシュー)」と言います。蹄鉄は、馬のひづめを保護するだけでなく、地面との摩擦を高めて、馬が滑らないようにする役割も担っていました。古くから、馬は人々の生活に欠かせない大切な生き物であり、蹄鉄は馬を守る大切な道具でした。
その蹄鉄が、いつしか幸運の象徴として扱われるようになったのには、理由があります。一つは、蹄鉄の材料である鉄には、魔除けの力があると信じられていたためです。鉄は硬く強く、火にも耐えることから、古来より特別な力を持つものと考えられてきました。人々は、鉄でできた蹄鉄にも、同じように魔除けの力があると信じて、身に着けたり、家に飾ったりするようになったのです。
また、蹄鉄のU字型も、幸運の象徴となった理由の一つです。この形は、上から落ちてくる幸運をしっかりと受け止める形だと考えられました。さらに、U字型は、母体の胎内や、空に浮かぶ三日月にも似ていることから、生命や誕生、成長といったイメージも重ねられました。これらのことから、蹄鉄は、幸運を呼び込み、災いから身を守ってくれる縁起の良いものとして、広く人々に愛されるようになったのです。
幸運の象徴である蹄鉄は、結婚式のようなおめでたい席にも用いられるようになりました。新しい門出を迎える二人を祝福し、末永い幸せを願う贈り物として、蹄鉄をモチーフにしたアクセサリーや装飾品が選ばれています。現代でも、幸せを願うアイテムとして、世界中で愛され続けています。