
尾長:花嫁の伝統美
尾長は、日本古来の髪型の一つで、流れるように長く美しい後ろ髪が特徴です。その名前の由来も、まさにこの長く伸びた後ろ髪から来ています。尾長が生まれたのは江戸時代。当時、この髪型を結うことが許されたのは、身分の高い武家の女性、特に大名家のお姫様だけでした。格式高い髪型であったため、「御台所」とも呼ばれ、特別な儀式や婚礼などの重要な場面で用いられました。
お姫様方の髪は、丁重に扱われ大切に伸ばされていました。そして、婚礼という人生における晴れの舞台で、その美しい黒髪を最も美しく見せる髪型として、尾長が選ばれたのです。尾長を結うには、長い髪が必要となるだけでなく、熟練した髪結いの技術も欠かせません。複雑に髪を折り重ね、かんざしなどの髪飾りで華やかに仕上げることで、お姫様の高貴な身分と美しさをより一層引き立てました。
現代では、花嫁の髪型として根強い人気を誇っています。純白の衣装を身にまとい、尾長を結った花嫁の姿は、日本の伝統美を象徴するかのようです。古き良き時代の雅やかな雰囲気を現代に伝える尾長は、時を超えて多くの人々を魅了し続けています。尾長は、単なる髪型ではなく、日本の歴史と文化を体現する貴重な存在と言えるでしょう。